2015-12

cotomono

何かを語りかけてくるような
カバンを作るcotomonoさんの作品の中で
イラストレーターのムツロさんと
一緒に作られたカバンに物語を添えました。

cotomono1

彼女のカバン

ドアの呼び鈴が聞こえたとき、僕は深い眠りの中だったから、
それが呼び鈴だと気付くまでに結構時間がかかった。
深夜の呼び鈴なんてそんなものだ。
「ごめん」とドアの向こうから彼女の声がする。
僕はその時、何と答えたのだろう。
玄関のドアを開けると、その隙間に彼女が白い息を吐きながら立っていた。
僕は彼女を部屋に入れると、ストーブに火を付けてキッチンに入りお湯を沸かした。
棚から二つマグカップを選んで
ココアをスプーンで適当にすくって入れる。
彼女はストーブの側に腰を下ろし
手にしていたカバンをゆっくりと置いた。
それは僕が初めて見るカバンだった。
お湯が沸くまでの間、彼女も僕も一言も話さなかった。
ポットがカタカタと白い煙を上げると僕は火を止めた。
そして彼女は言った。

「このカバンの中には宇宙があるの」

僕は二つのマグカップにお湯を注ぎながら、
彼女の言葉を頭の中で繰り返してみた。

「彼女の カバンの 中には 宇宙が ある」

彼女は両方の手のひらをストーブにかざして、
その奥でゆらゆらと揺れている炎を見つめていた。
そこに彼女が見た宇宙が広がっているかのように。
僕は白い湯気が立ち上る二つのマグカップを手に戻ると、
彼女の側に一つ置き、もうひとつを手のひらで抱えたまま
彼女の向かいにあるソファに座り、熱いココアを口に運んだ。
そして彼女の傍に置かれたカバンに目を向けた。
彼女はしばらくストーブの炎を見据えた後、
首だけ僕の方に向けた。
そして彼女は、宇宙の話を始めた。

2015-12-18 | Posted in 実績No Comments » 

 

toori

喫茶と空間tooriにて
ソワレの2016手帳「The Dress Bridge」から
ギタリスト西村周平の音楽とともに
物語の朗読をしました。

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朗読した物語
The Dress Bridge エプロン すかたん先生

私が習字の先生をはじめることになったのは
母の影響が大きかったと思う。
母は私がまだ小さかった頃から
家の一角で地域の子ども達を集めた習字教室をやっていた。

母は生粋の京都生まれで、強烈な京都弁だった。
母は生徒の子どもたちに「私をみやびな習字の先生と呼びなさい」
と強制していたけど
子どもたちが母のことを裏で
「すかたん先生」と呼んでいることを
私は知っていた。

母は習字の授業の終わりに
一人一人の清書した半紙を
朱色の筆で添削したあと
いつも着ているエプロンの
左右のポケットに手を入れてこう聞いた。

「右、左、どっちや?」

当たるとイチゴミルクの飴が
ポケットから取り出されて渡される。
外れると母は眉をへの字に曲げて
さも残念そうに
「すかたんやったなぁ」
と言って生徒の頭を優しく撫でた。
私はその場面を遠くで眺めながら
本当は母に頭を撫でられることの方が
当たりなのではないかと今でも思う。

母のことをぼんやりと考えていた私の目の前にいま
清書した半紙が差し出され
私の鼻腔に墨汁の香りが届いた。
そして私は母から受け継いだエプロンの
二つのポケットへ手を入れるのだ。

2015-12-18 | Posted in 実績No Comments » 

 

oshow

イラストレーターoshowと
スケッチブックやレターカード、ポスターなどの
ステーショナリーを制作しました。
oshowの気ままなスケッチ達に
物語を添えました。

■ペラン帖(スケッチブック)

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oshowペラン帖の唄

あの窓辺で
頬杖をついた君を
描きたいな。

だから僕は
得意の口笛で
君と頬杖を
おびき寄せるのさ。

カバンの中には鉛筆と
ペラン帖があるからね。

■ポスター

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踊って踊って
君は玉のような汗をかいている。

僕は冷蔵庫に
微炭酸ジュースを冷やしながら
君の踊りを見つめている。

2015-12-18 | Posted in 実績No Comments » 

 

BUCOLICA

福岡県糸島にて洋服を作るBUCOLICAと一緒に
手帳「The Dress Bridge」を作成。
手帳の中には12着の洋服と
その洋服にまつわる物語が添えています。
2015.10.3から11.29の期間
ソワレにて洋服と手帳の展示会「The Dress Bridge」を開催した。

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The Dress Bridge 4月 ワンピースより

ベッドの上にワンピースを広げて
私は何度あなたとデートすることを想像しただろう。
何度あなたの横にいる私のことを想像しただろう。
ワンピースは私にとって、あなたへ通じる橋。
どの地図にも載っていない私だけの橋。
私はベッドに腰かけてワンピースの袖に触れる。
そしてまた、あなたへの橋を紡ぎだす。

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2015-12-17 | Posted in 実績No Comments » 

 

文房具ソワレ

作者が経営する文房具「ソワレ」ではノートや手帳
封筒や便箋にポスターなどの紙モノを中心とした
オリジナルの文房具を作成してきました。
その商品の一つ一つに物語を添えています。

■ABCnotebook

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■ALBUM

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■message card

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2015-12-17 | Posted in 実績No Comments » 

 

日々

TEST

2015-12-10 | Posted in 仕事No Comments »